このサイトでは、暗号資産の取引所の使い方やブロックチェーンゲームの始め方など、個人向けの記事を書いてきました。最後の更新から時間が空きましたが、その間に個人の投機的な熱は落ち着き、残っているのは企業側の用途です。
会員証や来場証明としてのNFT、ポイントや社内通貨としてのトークン、サプライチェーンの履歴の記録。これらを作る側の事業者は、個人ではなく企業に売る必要があります。そこで今回は、Web3やブロックチェーン関連の事業者が企業に提案を届けるときの、新規開拓の進め方を整理します。技術の話ではなく、「どうやって決裁者に届けるか」の話です。
法人向けのリード獲得は15手法ある。単価と商談化率で選ぶ
展示会、ウェビナー、ホワイトペーパー、テレアポ、広告、問い合わせフォーム営業。BtoBでリードを取る手法は15ほどあり、1件あたりの単価と商談につながる率がそれぞれ違います。
Web3の商材は技術の説明に時間がかかるぶん、商談化率の低い手法で数を追うと疲弊します。各手法の単価と商談化率の調査値、回す順番をまとめた記事があるので、まず全体像をここで押さえてください。
→ リード獲得の15手法|BtoBの単価・商談化率の調査値と回す順番
「問い合わせフォーム営業」は、説明が長い商材と相性がいい
企業サイトの問い合わせフォームに、提案の要点とURLを入力して届ける手法です。電話と違って、相手が読んだタイミングで判断してもらえます。
NFTやトークンのように、口頭では伝わりにくく資料を見てもらう必要がある商材には、文章で届くこの経路が向いています。電話で「NFTを使った会員証の提案です」と言っても、たいてい受付で止まります。文章なら、担当者が興味を持った部分だけ読んで、資料のURLを開いてもらえます。
呼び名、法令、始める手順は1本にまとまっています。
→ フォーム営業とは?呼び名・法令・進め方の違いと始める手順
法律の線:特定電子メール法はBtoBにどこまで及ぶか
暗号資産の事業者は、金融規制には敏感でも、営業メールの規制は見落としがちです。企業宛の営業メールには特定電子メール法が関わり、送れる相手と文面に条件があります。
問い合わせフォームからの送信がこの法律の対象に含まれるかどうかは、含めるとも含めないとも明言した公表資料が見当たりません(2026年10月時点)。はっきりしていないからこそ、実務上の線は「営業お断り」表記を尊重することと、断りが来たら止めることになります。送れる相手の条件と文面の直し方はこちらに整理されています。
→ 特定電子メール法はBtoBでどこまで適用される?送れる相手と文面の直し方
エンジニアの多い会社ほど「AIで内製」に向かうが、詰まる場所は決まっている
Web3の会社は技術者が多いので、リスト作成も文面生成も送信も、AIとスクリプトで自分たちで組もうとしがちです。スクレイピングとLLMがあれば、たしかに動くものは1日で作れます。
実際に運用すると、詰まる場所は決まっています。企業サイトのフォームの構造が千差万別で送信の自動化が止まる。「営業お断り」の検知が漏れてクレームになる。送ったあとの返信追跡が誰の仕事でもなくなる。作る部分より、作ったあとに残る作業のほうが重いです。
どの工程をAIに任せられて、どこで人の作業が残るかをチェック表にした記事があります。自分で組むか決める前に見ておくと、見積もりが現実的になります。
→ フォーム営業のAI内製はどこで詰まるか|リスト・文面・送信・送信後の残作業チェック表
外に出すなら、代行会社は「同じ分母」で比べる
問い合わせフォーム営業の代行は、料金の単位が会社ごとに違います。送信1件あたり、月額、成果報酬。見積もりを並べるには、自社の条件を4つ決めて、同じ分母に換算する必要があります。
→ フォーム営業代行を比較する2つの表|自社の条件4つで型を決め、見積もりを同じ分母に並べる
そのうちの1社として、問い合わせフォーム営業の代行「スマートカイタク」(運営: 株式会社メカニズム、福岡市)があります。送信先リストの作成から営業文の配信、送信先一覧のレポートまでを引き受け、料金は送信件数に対する定額です。成果報酬プランはありません。
特徴は、リストを「対象顧客」で絞れることです。相手企業の業種ではなく、その企業が誰に売っているかで絞れます。たとえば、ポイントやNFTを提案したい相手が「EC事業者向けにサービスを売っている会社」なら、その条件でリストが作れます。完全自動のツールではなく、配信の設定は担当者が行い、送信だけをシステムが実行します。
まとめ
Web3の事業は、個人向けの熱に乗っていた時期から、企業に提案して導入してもらう時期に移っています。技術が分かる会社ほど届け方を自前で組みたくなりますが、届ける作業は本業ではありません。
手法を単価で選び、法律の線を押さえ、自分でやるか任せるかを1商談あたりの費用で決める。この順番で進めるのが、遠回りに見えていちばん早い道です。